絵が売れた

ゴールデン街NAGUNEで今日がついに絵の個展の最終日。
ギャラリーバーにおける個展は辛く楽しい。
なぜなら毎日、店にいて飲んでしまうからだ。
一週間、酒に酒を積み重ね、二日酔いに二日酔いを塗り重ねて、お酒の海を漂ってきた。

茶で済ませる作家もいるだろうが、それは私ではない。
自分の絵で結界を張り、訪ねてくる人は親しい人、懐かしい人、大切な人ばかり。
しかも、中心は私の絵の話題であったりするから、完全に自己中心的な世界において、ブクブクと酒の海に浮いたり沈んだりしている。
深夜に店がはねても、激しく気が揺れ動いていて、別の店でもうワンクッション置かないと帰る気がしない。
そういう怒濤の一週間が終わろうとしている。
また、人間として成長してしまうぜ。

絵は一枚売れた。
前回の個展でもフラっと寄った初対面の人が2枚買ってくれた。
いちおう数千円の値段はつけているから、絵が売れるというのはたいへんなことである。
展覧会をやるたびに単価は倍にしていこうか、……などと不遜なことを考える。
今回、買ってくれたのは、舞踏家で養護学校の先生をしているBさん。
女性のヌードの一枚を「動きがある」といって買った。
舞踏家に動きがあるといわれれば、あるのである。
もう一つ、鳥の絵を指さして、「あれはいらん、うちの生徒の描く絵と同じだから、毎日ああいう絵は見てる。しかし、あんたがどうしてあれを描けるんだ」と言われて、大いに意を強くする。
養護学校の生徒と同じ……私の歩んでいる道は間違っていない。