北斎とモネ

北斎

北斎展、さる美しい女性を同伴して見てきました。
すごい質と量に押され気味。混んでいるので、後ろから覗いただけの絵もあったのですが、それでも2時間以上。2回券を売っているのもうなずけます。もう一回行ってもいい。
筆の線を活かし力の抜けたマンガ的な絵もあれば、西洋的な写実感覚に近い絵まで幅があります。同時期でも、メディアによっていろいろな画風を使い分けています。一流のデザイナー、漫画家、イラストレーター、画家、版画家を全部いっしょにしたような天才です。仕事の依頼がつねに山積みになっていたのではないでしょうか。
江戸の文化がそういう絵画、版画を娯楽として消費するルートを多彩にもっていたことにも感心します。
当時の版画技術もすごい。あまりすごすぎて、素人の僕にはどう感心していいのかわからないくらい完璧。
そして、北斎も忙しくても絵さえ描いていれば幸せだった。だからかなり長寿だった気がします。

代表作の『富嶽三十六景』は、とくに前景に働いている人物が活写されているものが、富士を見る楽しみと人物を見る楽しみがあって、一粒で二度おいしい。そしてその構図、配置の妙。
他にも楽しい絵がいっぱい。
最前列で子細に細部を眺めたい絵がたくさんありますが、それをやっているとたぶんまる一日でも見きれない。
会場は広いけれども、けっこう混んでいるので、可能な方は平日の朝早くにいくのがいいでしょう。

●モネの光
上野ついでに、先日行ったプーシキン美術館展。
何がよかったといって、モネの二点!
光が描いてある。
もちろん、麦わらやら、橋やら池やら睡蓮やらの事物、景色が描いてあるのですが、それらは光を描くための媒体でしかない。
そういうはっきりした画家の意志が伝わってくる。
あの光は、印刷物では再現できない。
絵はがきや複製画を見たけれども、そこにはあの光がない。それらは今まで感じたことがないほど、くすんで見えました。こればかりは原画見るべし。